ミエマンコラム

醤油の雑学

本醸造と混合醸造の違い

お醤油には製造方式によってそれぞれの呼び名があり、JASによって3つに分類されています。流通している多くの醤油は「本醸造」とよばれる方式で作られた醤油ですが、これ以外に「混合醸造」、「混合」と呼ばれる方式があります。これらは味や品質に違いがあるのでしょうか? ここではお醤油の製造方式について学んでみましょう。

本醸造方式

本醸造しょうゆは最もポピュラーな製造方式で、日本で流通している約80%のお醤油は本醸造方式で作られています。本醸造醤油は、蒸した大豆と煎った小麦を混ぜ、種麹(たねこうじ)を加えてこうじを作り、そこに塩水を加えて熟成・発酵させる方式で、酵母や麹菌、乳酸菌だけの力を借りて、ゆっくりと自然熟成させていきます。時間がかかる分丁寧に熟成が進み、色や香りがよい醤油となるのが特徴です。

混合醸造方式

混合醸造は、本醸造方式で作られたもろみに、アミノ酸液などを加えて発酵させる方式の製造方法です。完全な本醸造醤油では、酵母や麹菌などの力だけで発酵や熟成を進めるため、出来上がるまでにとても時間がかかってしまいます。(通常6〜8カ月)
しかしアミノ酸液をもろみに加えると、発酵が促進され、本醸造より比較的短時間で熟成させることができます。本醸造醤油に比べるとアミノ酸独特のうまみがプラスされるため、一部の地域では混合醸造の醤油が好まれ、使われています。

混合方式

混合方式は、すでに出来上がった生醤油(生揚げ醤油)に、アミノ酸液などを単に混ぜ合わせただけの方式で作られる醤油です。アミノ酸特有の香りや味が好まれる地域があるため、この方式で醤油を作っている醤油蔵や工場もあります。

混合醸造や混合は二流品?

「本醸造」は高級醤油で、「混合醸造」や「混合」は安物?とイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか。よくお醤油の情報サイトやブログなどでも、混合醸造や混合は「コストが安い」「大量生産が可能」「粗悪品」などとうたっていることもありますが、「混合=二流品」ではありません。
前述の通り流通している醤油の約80%は本醸造方式であり、混合醸造や混合はごく一部しか出回っていません。どちらかと言えば地域ごとで使い分けられている傾向が大きく、うまみや甘みの強い醤油を好む地域では、アミノ酸が入っている混合醸造や混合方式の醤油が使われています。製造方式は材料やコストではなく、その地域に根付いた製造方式が使われているといったほうがよいのではないでしょうか。

このように醤油には3種類の製造方式がありますが、私たちがよく見かける一般的なお醤油は大半が本醸造方式で作られた醤油と言えます。

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